大手のスーパー食品売り場に行けば、「鹿児島産黒豚」「国産黒豚」という表示を目にしないことはないでしょう。
それだけ多くの黒豚が国内で生産され、流通されております。
ではなぜそれは日本においてここまで大きなブランド価値を持つようになったのでしょうか?
最大の要因は黒豚の肉質の良さ
色々とうんちくはありますが、一番の要因は「味・食感」です。
黒豚は長年の飼育方法の研究により、歯切れが良く、サッパリとしながらも噛めば噛むほど溢れ出る旨味タップリの味わいです。
そんな絶品の黒豚について、いくつかのうんちくを説明いたします。
黒豚の特徴
イギリス、バークシャー地方の在来種に中国種などを交配して作られた品種がバークシャーです。
現在、黒豚といえばほとんどがこの品種を指します。
この品種の最大の特徴はその肉質で、甘みがあり、また脂の乗りがよく、食味と脂肪含量が適度に兼ね備えられる品種としてほかの豚に比べて群を抜いていい、ということがあります。
黒豚のふるさと、鹿児島
豚肉を常時の食用としていたのは戦国時代から、鹿児島で行われていたという記録があります。
その味は江戸時代になっても将軍への献上品として喜ばれたとか。
養豚業の歴史を古くからもつ鹿児島にイギリスからバークシャー種が持ち込まれます。
そのバークシャー種と従来の豚を掛け合わせ、早くから肉質の改良に取り組まれていったという歴史があるのです。
戦後の第一次黒豚ブーム
1949年には定期的に東京への出荷が始まり、1960年代にはその当時で10万円もの金額で取引されることもあり、「黒豚を扱っている」ことが肉屋のステイタスとなるほどだったのです。
一時低迷した「黒豚ブランド」と第二次黒豚ブーム
しかしその後、3種交配の白豚(いわゆる三元豚)が圧倒的に生産の主流を占めるようになりました。
鹿児島でも95%以上の豚が白豚になるようになったと記録があります。
それでも黒豚のかつてのブランド力を、ということで生産を続ける畜産業者の努力はつづきました。
復活とバブル、そして基準作り
努力がみのり、当時のバブル期グルメブームも手伝って1990年代に「黒豚ブーム」が沸き起こります。
その際には多くの偽物も登場したようですが、様々な努力によって、品質の基準と生産地の統制が行われ、安定を見るようになりました。
いまでは鹿児島県の畜産4割程度が黒豚です。
これからの黒豚
2度のブームがあって、「黒豚」は完全に日本人の心にブランドとして定着しました。
特にそのブームの頃によく食べていた人にとっては「黒豚はやはり売れる」という印象が残っています。
それは団塊の世代など、日本の人口の多くを占める世代です.
(当時で20代から30代自分のお金で食べ物を買い始めた世代です)。
新しい黒豚
近年では新しい交配品種「TOKYO X」などが現れています。
これからの日本の食卓を楽しませるのは、苦難の歴史を乗り越え、さらに新しく進化し続ける黒豚なのかもしれません
コメント