「せんやぎゅう」ではなく「ちやぎゅう」という読み方の岡山県産の黒毛和種。
肉質は柔らかく、美しい赤色の肉に霜降りが細かく施されています。
ステーキや焼き肉はもちろん、すき焼きや牛丼、ハンバーガーなどにも使用されています。
千屋牛の産地
千屋牛が生まれ育つ岡山県新見市千屋地区は雨が多く、比較的冷涼な土地です。
気候と土地の性質を活かし、米や野菜、ブドウや桃などの果物の農産も盛んに行われています。
降雨量の多さから良質の牧草が育ちやすく、水質の良いことから高品質な牛の飼育に適しています。
千屋牛は高梁川源流と恵まれた自然環境、四季豊かな環境によって育まれています。
千屋牛の歴史
日本最古の系統牛は岡山県新見市が発祥と言われ、千屋牛は黒毛和種のルーツとも言われています。
千屋牛は江戸時代に現在の新見市千屋地区の村で、鉄山業の労役牛として生産されてきました。
1800年に入ると黒船が来航し、製鉄で財を成し遂げる人物が表れます。
豪農太田辰五郎が千屋牛の改良を試みることにより、現在の千屋牛へと生まれ変わります。
千屋牛の改良
元々千屋牛は小さく、少産でしたが、太田辰五郎によって大型で多産な牛に改良されました。
但馬産の種牡牛を導入し、改良を重ねることによって現在の優れた千屋牛が生まれたのです。
頑強で多産でありながらおとなしいため、生産者にとって育てやすい牛へと生まれ変わりました。
天保5年に牛の販売を始めることにより、世間に広く認知されるようになったのです。
千屋牛の特徴
古来から千屋牛を愛し、大切に育ててきた生産者の真心が伝わる証があります。
千屋地区の人々は、かつては民家の中に牛舎を造り、家族同然のように寝起きを共にしてきました。
衛生上の理由から現在では行われていませんが、その精神は受け継がれてきています。
小規模生産ではありますが丁寧に育てられ、出荷されているブランド牛です。
千屋牛の碁盤乗り
おとなしい気質の千屋牛は飼育がしやすいことが特徴としてあげられます。
その気質を表す一つとして、伝統芸能である「千屋牛の碁盤乗り」が有名です。
大きな牛よりもはるかに小さな碁盤に4本脚をのせ、見事にバランスをとって制止する芸です。
これは牛の足腰の鍛錬と調教のために、大正時代に始まった高度な調教です。
他にも細い橋を渡る芸や、前足をひざまづいてお辞儀をする芸を披露することもできます。
千屋牛は頭が良く、従順な性格のため、このような芸を教えやすいのです。
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